長女の拒食症克服記録♯1悲痛な叫びと母としての転換点
ママが大好き!ママが私を苦しめてるんだ!
限界体重になり、入院が決まりました。
さて、病棟へ。
担当ドクターと娘の間で、さまざまな条件のやり取りがありました。
・トイレに行きたければ、点滴を受け入れ、食事をとる
・シャワーしたければ、点滴を受け入れ、食事をとる
・部屋(個室)から出たければ、点滴を受け入れ、食事をとる
他にもいろいろあったと思います…
娘は点滴の管や針を抜いてしまい、これまでも受け入れたことはありませんでした。
食事についても、入院して最初の食事は拒否したままでした。
「入院前に担当ドクターとした約束と違う!」
そう感じた娘が、治療の全てを拒否したのです。
精神科ではなかったからか?
彼女が拒否する以上、無理に食べさせることも、点滴をいれることも、ましてや経鼻経管栄養などをできずに、ドクターをはじめ、スタッフの皆さんが閉口していらっしゃいました。
昼前に病院に入り、昼食を拒絶、点滴を拒絶、晩ごはんを拒絶。
トイレをずっと我慢していて、彼女はもう限界に達していました。
目の前の冷めきった病院食を眺めながら、彼女はいいました。
「ママ、ママ、私はどうしたらいいの?」
「ママの言うとおりにするから、ママが決めて」
「あの人(ドクター)の言うことを聞くのは嫌だけど、もう、トイレが限界なんだよ…」
「ママは、本当は私に食べてほしい?」
「ママは、私に元気になってほしい?」
「ママの望むとおりにする」
「もう、ご飯食べる」
「ご飯食べて、トイレする」
「このまま、病気が治るまで、この病院で頑張るから、もうママ、これ以上泣かないで」
「ママのことが好きすぎて、ママ(の存在)が私を苦しめてるんだよ!」
「ママ、助けてよ…」
娘は私にすがりつくようにして号泣し、
そして苦しそうな顔で泣きながら
「美味しいね」と
自分に言い聞かせるようにしながら夕食をとりました。
そして
「もう、負けでいい…」
ベッドサイドのポータブルトイレで泣きながら用を足しました。
長女は涙いっぱいの目で私に微笑んで見せ
「もう大丈夫。明日から頑張るからね。」と。
私は娘を残し、病院を後にしました。
「ママのことが好きすぎるから。」
「ママが私を苦しめてる。」
どうすることもできずに、
言葉すら掛けられずに、
泣いて娘を抱きしめるだけの私に、
泣き叫びながら娘が放った言葉が頭から離れませんでした。
それはまるで、魂の叫びのようでした。
この日の夜の出来事が、深い深い反省とともに、母親としての自身の在り方が大きく変わる転換点となりました。
わたしは、どれだけ独りよがりだったんだろう。
どれだけ私自身の心配や辛さ、不安を娘に垂れ流していたんだろう。
どれだけ私の感情のお世話を娘に課していたんだろう。
どれだけ、娘の前で泣いていたんだろう。
病院の駐車場。
車の中で私はしばらくの間、嗚咽しました。
情けなくて、申し訳なくて、不甲斐なくて、愛おしくて、助けたくて、力が欲しくて、乗り越えたくて
いろんな感情がごちゃまぜの涙でした。
そして私はこの夜、初めて娘の本当の苦しみに触れた気がしたのです。
この日を境に、泣き虫ママだった私は、娘の前で泣くことがなくなりました。