長女の拒食症克服記録♯14真夏のビーチで泣き崩れる②
前回のお話
沖縄旅行が台風でキャンセルになり、急遽日帰りで行った海水浴。
健常者にとって生温い真夏の海水も、彼女にとっては氷のような冷たさで。
ガチガチに震えて砂浜に戻りました。
まともに歩けない身体を抱きかかえて。
熱くなったシートに座わり、パーカーを羽織り、さらにバスタオルを巻き、震える身体を温める。
「こんなことすらできなくなっちゃったんだ…」
「赤ちゃんだって入れるのに」
「もう、わたし、ダメだね…」
泣きながら、ポツリポツリと。
「悔しいな…」
「何も楽しめない自分…」
「こんなの嫌だ…」
この悔しさが、バネになったらいいのに。
そう、私は思いました。
「そうだね、悔しいね」
「治ったら、なんでもできるのにね」
「頑張って治していこうね!」
でも、これって
まだまだ健康なひとの思考です。
悔しさがバネになるくらいなら、
頑張ってどうにかなるなら
とっくに食べれてるし、とっくに治ってる。
幼児ですら元気に走り回って海に飛び込んでいる姿を見て、
赤ちゃんが波打ち際で水遊びしている姿を見て、
自分の身体の限界を感じ、自信を打ち砕かれ。
悔しい…とひとこと。
ママ、それでも私は食べられないんだよ…。
ママ、こんな娘でごめんなさい。
それでも、パパと次女が遊んでいるあいだ彼女が好きなバラの話や、建築中の新しい家の話などもしました。
お日様があったかいねー。
風が気持ちいいねー。
次女に呼ばれて、私も何度か海に入りに。
戻ってきては、身体についた海水と少し冷えた私の身体を触ってみたり。
帰る前に、もう一度だけ海に入りたい。
頑張って、身体全部海に入りたい。
なんのために、今日ここにきたのか。
このまま入らなかった、悔しさだけが残っちゃう。
ママ、一緒に来て。
そういって、
手を繋いで、海に入りました。
泣きながら、私にしがみついて海に入りました。
「入れた、入れた!」
そう言って泣きながら、笑っていました。
このとき私が学んだこと。
どんなに自身の身体の限界を突きつけられたとしても、それが変わる原動力にはならないんだということ。
それができれば、難病なんて言われるわけないんだよね…っていうこと。
努力や頑張りで克服していけるものではないんだということ。
「べき、ねば思考、正論」そんなものを超えた関わりが必要なんだということ。
2011年の夏。娘が拒食症になった夏。
私たち家族の最後の海水浴になりました。
そしてこれが、唯一の家族のお出かけでした。