娘が拒食症になりました⑨初めての入院
不安の中で決めた入院
入院の前日、娘はずっと泣いていました。
お友だちのお家でさえ、お泊まりができない子でした。
チャレンジしても、結局夜中に戻ってくるような子でした。
(ちなみに次女は真逆のタイプ。お泊まりが大好き)
私の心も沈んでいました。
娘と離れることが、私自身が心配で仕方ない。
そしてもう一つの私の心配は、病院や医師を信頼できなくなっていたこと。
「病気は病院に行けば治るものだ」という私の価値観はとっくに崩れていて、入院して娘が治る!とは思えなかったんです。
「心がもっと壊れてしまうんじゃないだろうか…」という不安の方が大きかったのです。
▶︎娘が拒食症になりました⑥「拒食症は治らない!」医師に言われて言葉を失う
それでも、「体重を戻すのが先である。」という医師の言葉にすがるしかありませんでした。
いま思えば、私は状況に翻弄されていただけでした。
強烈に感じる違和感。
でもどうしたらいいのかわからない。
自分でもわからないのだから、長女にかける安心の言葉も見つからない。
動揺が露わになり、自分の不安に子どもを巻き込む。
頼りないお母さんだったなと思います。
ただ、長女が入院することで、やっと次女との時間を作ってあげられるという安堵感もありました。
長女のことが気になって、次女との関わりがどうしても薄くなってしまっていることに、私はその頃悩んでいたのです。
入院の日
入院前夜、長女は何やら一生懸命に描いていました。
そして、私にA4の一枚の紙をくれました。
そこには、自分が留守の間の家族の食事の指示が、イラスト入りでビッチリと書かれていました。
朝、妹にはトーストにたっぷりとバターを塗って出すこと。
トーストはしっかり◯分で。焼いている間にハムと牛乳とバナナと・・・
いつものスーパー。たまにいくスーパー。そこで買っているものの値段、底値。おすすめの品。
いつの間に、観察していたんだろうと驚くほど細かく書かれていました。
自分が留守の間、妹には台所の手伝いを絶対にやらせないこと。
「私の仕事を妹にとられたらいやだ」
そう、書かれていました。
拒食症になってから、食事の手伝いを率先してやるようになっていたのです。
入院当日の朝、次女が泣きながら長女に声をかけました。
「お姉ちゃん、帰ってくるの待ってるからね…」
次女はそう言って泣きながら登校しました。
「あんなに、いじわるしたのに…。優しくないお姉ちゃんだったのに…。なんであの子は泣いてたの…」
そう言って、長女はわんわんと泣きました。
そして、私と長女は入院先の病院へ向かったのです。
いま思い返せば、ここからようやく
長女と私の本当の拒食症克服のストーリーが始まろうとしていたんだなと。
あの頃は精一杯だったけれど、それでもまだスタート地点にすら立ててなかったと思います。
さて、病棟に案内されるや否や、娘とドクターとのバトルが勃発します。